終 演 御 礼
《スペイン歌曲浪漫》
Mis canciones españolas románticas
粋と情熱、光と影…独自の鮮やかな個性で世界を魅了する国スペイン。クラシック音楽であるスペイン歌曲の根底にも、この国ならではの“愛と哀”が深く息づいています。喜び、悲しみ、嘆き、祈り、希望…あふれる想いを真っ直ぐに歌うその世界は、何故か、私たちの遠い郷愁、秘かな共感を呼び覚まします。素朴な旋律、小粋なリズム、凛として誇り高く、そっと優しく、甘く、苦く、切なく、愛おしい歌の数々。スペイン歌曲ならではの味わいをどうぞお楽しみください。
谷 めぐみ
©藤本史昭
©藤本史昭
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終演後に寄せられたメッセージより
●スペイン歌曲だけのコンサートは初めてでしたが、色々バラエティーな曲があることが分かりました。
●4年という年月、感慨深かったです。久しぶりにライヴで音楽が体に染み入る幸せを実感しました。
●4年ぶりに、ここ(Hakuju)で再びスペイン歌曲に触れる幸運に感謝です。
●ちょっと別の世界に連れて行ってもらったような、旅に出たような感じでした。
●同じ空間にいて、おふたりの声とピアノのシャワーを浴びて幸せでした。澄んだ声、心がキレイになるようです。
●初めて来ました。圧力…ではない、なにか表現がむずかしいですが、濃い音色の声が気持ちよく、心地よかったです。
●もしも翌日また開催があれば、絶対にまた聴きに行きます。
●モンポウは初めて聴きましたが、なんて素敵な曲でしょう!心を鷲掴みにされました。「舟歌」が始まった瞬間には空間の色彩が変わった感じがし、とても心地よかったです。
●心に沁みる演奏会でした。スペイン歌曲の多様な面を知ることが出来て、歌曲が身近なものになりました。
●スペイン語に宿るリズム、グルーブ、メロディーや和音に映し出される情景、心…ありありと感じられました。
●歌とピアノの一体感、メロディーの素晴らしさなど様々な要素から出来上がっている世界が本当に美しく、感動します。
●知らない曲が多い中、曲の内容や作曲者についてのお話はとても楽しいものでした。ビクトリア・デ・ロス・アンヘレスに関するお話も、そんな経験をされていたんだ、と、まさに自分も立ち会っていたかのような錯覚を覚える程でした。
●明るく楽しいコンサート。でも、実は、ものすごく上質なものを聴かせていただいたんですね。
Facebookへのご投稿より
●音楽ジャーナリスト井内美香さん
谷めぐみさんの4年ぶりのリサイタル《スペイン歌曲浪漫》素晴らしかった〜!コロナ前にも谷さんのリサイタルには伺っていて、極め人はすごいなぁと思ってはいたのですが、今日は第一声から、過去の記憶を軽やかに上回る輝かしいお声。そして、トークして歌って、トークして歌って、というスタイルのコンサートなのに、声は豊かな響きを増すばかり。この年月の間に私のスペイン歌曲に対する理解が少しずつ進んでいることもあると思うのですが、だからこそ分かる、作品に合わせて七変化する谷さんの歌の表現力をたっぷり堪能できました。モンポウは気品に満ちて、グラナドスはエスプリに満ちて、ビクトリア・デ・ロス・アンヘレスに捧げる曲たちは憧れに満ちて、ロマンチック・スペインはスペイン音楽への愛に満ちて、もちろんどの曲もこんな一言では言い表せないのですが、それぞれが違うスペイン歌曲の多彩さを味わうことができました。そしてピアノの浦壁信二さんとの掛け合いの妙、音色の溶け合い方。これも驚くような精度と音楽をする喜びに満ちていて。幸せな時間をありがとうございました。
●Jさん
先日お伺いした谷 めぐみさんのリサイタルがとっても素晴らしくて、いまだに反芻中。スペイン歌曲の魅力に痺れています。プログラムは「ひそやかな歌」〜フェデリコ・モンポウ生誕130周年に寄せてから始まる4部構成。モンポウは、ピアニストのアンスネスがアンコールで弾いたのを初めて聴いて好きになった作曲家ですが、浦壁信二さんの陰影のあるピアノと、谷さんの伸びやかで透明な声で聴くと、静かな情感が際立ってしっとり。やっぱりいいなぁと独りごちました。君の上にはただ花ばかり、これは名曲。「マホに恋して」はエンリケ・グラナドスの歌曲で組まれたパート。谷さんご自身の解説が大変わかりやすく、実演はさらに表情豊か。スペインの街角に生きるマハ。その姿を垣間見たようなひと時でした。「憧憬」は偉大な歌手ビクトリア・デ・ロス・アンヘレス生誕100周年に寄せて。曲が進むほど、もう終わってしまうのかと淋しいような気持ちが募り、一瞬一瞬が愛おしい。谷さんの歌声は本当に耳に心地よくて、ずっと聴いていたい気分。解説ではアンヘレスさんのマスタークラスの通訳をなさったお話など、貴重なエピソードも。プログラムにも素敵な写真が何枚か載っていました。締めくくりは「ロマンチック・スペイン」。なじみのある「わが心のアランフェス」から、弾むファンダンゴ、そしてスペインらしく情熱的なエル・ビートへ。最後はしっとり味のある子守唄など、スペイン歌曲の多彩ぶりに魅せられました。アンコールは3曲。中でも、ゴム手袋にエプロン姿で披露された曲は、谷さんの演唱が素晴らしく、実に愉快。盛り上がりました。
●Kさん
10日の日曜日、「スペイン歌曲の極め人」谷めぐみさんのリサイタルへ行きました。谷さんのリサイタルへ伺うのは3回目なのですが、いつも感銘を受けるのが、舞台と客席の一体感です。今回は4年ぶりの開催ということもあり、谷さんとピアノの浦壁信二さんはもとより、聴衆のおひとり、おひとりまでもが「ようやくこの場へ戻ってこられた」という嬉しさ、高揚感をもって待ち構えていたように思います。谷さんは、OTTAVAへご出演くださったときと同じように、今回のプログラムに込めた思い、それぞれの歌にまつわる思い出、などをテンポよく丁寧に話され、そして輝かしく瑞々しい声で熱唱し、ホールの中をスペインの風で満たしていらっしゃいました。モンポウ、グラナドス、アルフテル、アルベニス、モンサルバッジェ そのほか、そのほか。スペイン語の独特の抑揚、様々なリズム、谷さんの表情や手振りから想像できる情緒豊かな歌の世界は、本当に素晴らしかったです。全身全霊を傾けた20曲のプログラムのあと、アンコールに3曲も歌ってくださるというスタミナとサービス精神にも、ただただ感心してしまいます。アンコールのうち「お手伝いさんのタンゴ」という楽しい曲では、ゴム手袋やエプロンをまとって掃除のバケツを持って登場、歌が進むにつれ、手袋やエプロンを脱ぎ捨て、最後には優雅に扇をつかう淑女になるというパフォーマンス付き。浦壁信二さんのピアノがまた、谷さんの歌心にぴったりと寄り添い、その魅力を更に引き出す絶妙な演奏でした。谷さんのリサイタルとはいいながら、完全に谷さんと浦壁さんのデュエットになっていました。次回の開催が、早くも楽しみになっています。