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第23回Recital  スペイン浪漫
Mi España Romántica
2014年10月4日@Hakuju Hall

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第23回リサイタル『スペイン浪漫~Mi España romántica』開催おめでとう!大成功を祈る。

                            

 

親愛なるMegumi Taniへ 
マヌエル・ガルシア・モランテ (作曲家・ピアニスト)  
~歌の「いのち」を知る人、谷めぐみ~

 グラナドスほかの「芸術歌曲」から、「ラ・ビオレテーラ」などの「懐メロ流行歌」に至るまで、それぞれに魅力的なスペインの歌たち。今年もまた、それらに歌としての「いのち」を吹き込む術を心得た人、掛替えのないスペシャリスト、谷めぐみのリサイタルを味わえる。題して「スペイン浪漫」、スペイン語で言うとすれば「エスパーニャ・ロマンティカ」となるだろうか。たしかに、スペインの歌には、つねに微妙な「粋(いき)」のスパイスを混ぜ込んだロマンティシズムの甘美さ、優美さが行きわたっている。ただし、スペインのロマンティシズムは、たんに夢のような甘美さに浸るだけのことではない。そこには常に、リアリズムの裏打ちがあり、実人生の悲哀、苦痛、あるいは宿命感といったものが浸み込んでいる。そういった「裏のもの」までも、余さず歌に込め、味わわせてくれる人こそ、歌の「いのち」を知る谷めぐみなのである。

濱田 滋郎 (音楽評論家・スペイン文化研究家)

 19世紀末から20世紀初めの時代、スペインは、政治的にはかつての勢いを失っていたものの、その文化、芸術は独自の香りを放つ大輪の華を咲かせ、世界の憧憬を集めていました。グラナダを愛し、色鮮やかなスペインを鍵盤に描き続けたアルベニス、とびきりダンディな音の詩人グラナドス、情熱の高み、天に昇華する音楽を生涯追い求めたファリャ。街に流れるハバネラやクプレ、下町の人情の機微あふれるサルスエラ…。まさに百花繚乱。今日、私たちを魅了する“スペイン音楽”のエッセンスが、この時代にギュっと凝縮しています。

 ほぼ時を同じくして、日本では艶やかな大正浪漫の華が咲きました。“浪漫”の文字は、夏目漱石が考案したといわれています。漱石とグラナドス。浪漫の旗手、浪漫の申し子のような二人は、奇しくも同じ年に生まれ、同じ年にこの世を去りました。

 『スペイン浪漫~Mi España romántica』全四章。古きよき時代に思いを馳せて綴ってまいります。情熱に粋のスパイスがピリリときいた“スペインならではの浪漫”を存分にお楽しみください。

                                                                    

谷 めぐみ
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