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第22回Recital 愛しのバルセロナBarcelona Querida 
 2013年6月1日@Hakuju Hall

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 「谷めぐみを、また聴ける」…そう言って微笑み合う人びとの輪は、疑いなく、リサイタルが回を重ねるごとに増えつづけている。聴いたら、次も聴きたくなるこの人の魅力は、どこにあるのだろう?愛する対象「スペインの歌」を自分のものにしきった選曲と歌いぶりに加えて、肝腎なのが「声の熱さ」ではなかろうか。この「熱さ」は、彼女が心に抱いている「想い」から来る。「歌うこと」「歌い手であること」への、使命感を伴った想い。第2の故国スペインに寄せる想い。そして何よりも、彼女のうちで人一倍深くはぐくまれた、人びとの「真ごころ」に向けての想い。「心根」は日本語で最も美しい言葉のひとつだが、谷めぐみはそれを「心音(ね)」として歌声にこめる。それをこそ、人びとは待ち受けるのだ。

― 第22回リサイタルに寄せて

濱田 滋郎(音楽評論家・スペイン文化研究家)

  Mikiko(バルセロナ在住)

 この四月、めぐみさんに井の頭公園で咲き誇る見事な桜を見せていただきました。二十五年前にパラモス(バルセロナ)で聴いた、ビクトリア・デ・ロス・アンへレスが歌う“さくら”の大らかで繊細なイメージがくっきりと蘇りました。私が三十年住む街バルセロナ。この街の空気を深く温かく呼吸し続けて、めぐみさんは、私達がつい忘れそうになる人間存在の尊さを、豊かに、そして細やかに伝えてくれます。スペインの歌、カタルーニャの歌を心から愛するめぐみさん。これからも高らかに歌い続けてくださいね。
第22回谷めぐみソプラノリサイタル≪愛しのバルセロナ≫評 

『音楽の友』2013年8月号より抜粋

 極上の歌声に浸った一日。前半での〈五月〉(トルドラ)の透明感ある響き、歌曲集《夢のたたかい》(モンポウ)での言葉の繊細な扱い、カザルスの〈鳥の歌〉(コール・シャンティーとの共演)での抑えた憂色の美学、ガルシア・モランテ編のカタルーニャ民謡で醸し出された哀感ある抒情性などどれも特筆すべきもの。グラナドス〈内気なマホ〉でのコケティッシュな表現力、〈ゴンドラの舟歌〉(アルベニス)の優美さ、モンサルバージェ〈黒人の子守歌〉での声の精妙な絞り方など傑出。浦壁信二のピアノも粒揃いのタッチが光り、〈パーニョ・ムルシアーノ〉(ニン)の飄々とした感など印象に深い。 (6月1日 Hakuju Hall)                                                                                                                

岸 純信 

(『音楽の友』編集部の了解を得て掲載)

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