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第27回Recital  スペイン浪漫Ⅳ
Mi España Romántica IV
2019年5月19日@Hakuju Hall

designed by Vamos Inc.

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スペイン歌曲の真髄を告げる歌い手

 スペインは普段、「ヨーロッパで最もヨーロッパらしくない国」だと思われ、その音楽も「ローカルかつエキゾチックな魅力が売り物」と思われてきたふしがある。だが、実のところ、これは、19世紀頃から続いてきた「西欧中心の思潮」に片寄った見方に過ぎない。古代、中世以来イベリアの地に積み重ねられた諸民族の血と文化の産物であるスペインの芸術は、実は東方と西方、2つの要素を練り混ぜたところに育まれた、ローカルどころか、真にユニヴァーサルなものである。そこに在るのは、たんなる感性の戯れではない。東西の知恵と感性を織りまぜた、人間の心に住む奥深いものまでが、そこには表現される。そのような意味合いから、ここ、東洋の日本に、谷めぐみのような優れたスペイン芸術のエキスパートが居り、私たちの心の琴線を揺るがせてくれることは、大きな意義がある、と言わねばならない。歌われるのが熱い祈りの歌であれ、粋な愛と情熱の歌であれ、この人の歌声にはある故知れぬ郷愁と人間の心の真実がこもり、真の感動へと導く。大切な歌い手を聴く機会がまたここに訪れたことを嬉しく思う。

濱田 滋郎(音楽評論家・スペイン文化研究家)

¡Bienvenidos!

 ようこそお越しくださいました。

 本日のプログラム第1ステージは、新しい元号のもと、平和と安寧への願いを込め、祈りの歌を演奏させていただきます。

 第2ステージは時代一転、19世紀半ばのスペインへ。“異国スペイン”の音楽として当時人気を集めた〈ハバネラ〉をご堪能ください。第3ステージは19世紀末から20世紀へ移り行く頃へ。“母国スペインの芸術音楽”を追求したアルベニスと彼の後輩達が丹精込めて咲かせた歌の花々をお届けします。第4ステージは20世紀へ。この時代を代表する作曲家ロドリーゴのバラエティ豊かな作品をお楽しみください。イラディエール生誕210年、アルベニス没後110年、ロドリーゴ没後20年、トゥリーナ没後70年、ゴメス生誕80年、ニン生誕140年、没後70年など、本日登場する音楽家の多くが今年、記念の年を迎えています。各々に魅力を秘めた彼らとその周辺の作品を通して、歴史の移り変わりとともに変わった、変わらなかった、そして変わろうとした、スペイン歌曲の姿を垣間見ていただければ幸いです。

 昭和に歌い始め、平成、令和と時が流れました。皆様の長年のご支援に衷心より感謝申し上げます。

 2019年5月19日
谷 めぐみ
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